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メルマガ第26号

御社のマネジメントシステムで競合他社に勝てますか?

 まず初めに、テキストP107 「社会体制で軍の強さが決まる」から引用します(ちょっと長いですが、面白いです。また、読みやすくするために、一部加筆・修正してあります)。

 帝政ロシアで農奴制が残っていた影響は、陸戦でもある。ロシアは身分差がやたら激しい国だ。(日露戦争で)捕虜になったロシア兵は「日本では士官も兵隊も同じものを食う。これでは勝つはずだ。ロシア軍では士官と兵隊の待遇の差があまりに大きすぎるから、我々兵隊は全然やる気が出ない。日本の兵隊が手抜きせずに頑張るのは当然で、これが近代化というものなのか」と感心したいう。

 ただ、日本の近代化の進み具合について言えば、「ロシアよりは」あるいは「中国よりは」なのである。大雑把な法則を言えば、社会全体、国家全体の体制の進んでいる国ほど、戦えば勝ちやすいのだ。

 だから社会体制しては、日本はロシアよりは近代化と民主化が進んでいた。江戸時代からそうであって、中国よりも進んでいたから中国にも勝った。相手国の兵隊はやる気がなく、こっちの兵隊はやる気があった。

 ではアメリカを相手にしたらどうかというと、日本の方が遅れていた。だから、いくら「大和」やゼロ戦の自慢をしたって負けてしまったのだ。

 日本人は賢いから、戦争が負けだした昭和19年頃には日本人全部がその事実を知っていた。だから昭和20年になってアメリカ軍が日本の占領にやってきた時、「社会体制の優れた国の軍隊が来た。これに学ばなければいけない」と多くの日本人が思った。私はその頃を知っているが、戦争に負けた悔しさなぞ言っている場合ではない、と日本人全部が歓迎して迎えた。一から十まで学ぼうとした

 これはみんなが身をもって感じていたことだ。私はその頃中学三年から高校一年だったが、アメリカの兵隊がたくさん来て、池袋や新宿を歩き回っていた。そして、今日は日曜日だから上官に敬礼しなくてもいいというのでこちらは驚いた。

 日本の兵隊は日曜日でも、向こうから上の人が来たら敬礼する。それを「やばい、敬礼するのは嫌だ」と言って横の道に逃げると、追いかけてきて捕まえて「お前、逃げたな」と言って殴る。それを我々は見て知っていた。

 我々は日本国家のためなら闘うが、上官のそんな趣味みたいなもので殴られるのは嫌だと思っていた。ところがアメリカ兵は仕事はする、戦争はする、だけどきちんと休みは休みだから大したもんだと思った。

 私の経験で言うと、昭和30年に会社に入った時に、上司はみなそれを経験した人だから
「日下、日曜日は休んでいいんだよ」とか「5時過ぎたから帰っていいんだよ」と言ってくれ、軍隊経験者が課長で、かつての日本軍の悪いところはもう引き継がないというわけだ。私はとても気持ちが良かった。

 ところが今、昔に戻っているのは、日本の社会全体がいまだに遅れているということだ。だからこんな日本は嫌だと、仕事が本当にできる人は山一證券が潰れたら大喜びでニューヨークに行ってしまった。

 日本全体の遅れ、その遅れのハングリー精神をタネに、無理やり頑張ると「大和」ができたということもあるが、「大和」を見ていると私は陰鬱さを感じる。食うものも食わずに遮二無二造った。まさに遮二無二だからできたのだが…。

 長い引用で、お疲れ様でした。皆さんは日下さんのお話に対して、どのようなご感想を持ちましか?それでは最後に、私(角川)の感想と意見を一言。

 日下さんの主張である「戦争の勝敗は戦艦大和やゼロ戦等優秀な兵器ではなく、国家の社会体制で決まる」を、我々が身を置く今日のビジネス社会に当てはめると「会社の業績は製品(サービス)の優劣ではなく、マネジメントシステムの優劣で決まる」ということになります。

 優れたマネジメントシステムのある会社では、従業員のマンパワーをフルに活用するため、本当に実力がある人が昇進していきます。アメリカで女性大統領が生まれようとしているこの21世紀において、①女性の管理職がいない②高卒社員に昇進の道が閉ざされている③パート・派遣社員の正規社員登用制度がない、こんな体制(社員の「やる気」を重視していない)会社に、明るい未来があるのでしょうか?

 御社のマネジメントシステムで競合他社に勝てますか?

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