私は業務「改善」と業務「改革」の実施タイミングの違いについて、次のように考えています。
改善…現状のやり方で概ねうまくいっている時(平常時)に行う。
改革…現状のやり方ではもうダメな時(非常時)に行う。
これを病院に例えると、ちょっと悪い時はお薬による治療、相当悪い時は手術、とうことになります。そのように考えると、次のことがよく理解できるはずです。
ここで話は変わりますが、私はセミナー等で大都市へ行く時、大きな本屋さんに立ち寄ることにしています。私の専門とする「間接業務の生産性向上」に関する本は、田舎の本屋にはなかなか回ってこないからです。私はかれこれ15年以上ビジネス書コーナーをウォッチングしていますが、現政権が『働き方改革』を目玉政策としているせいか、最近「生産性向上」「業務の効率化」に関する本が増えてきたように感じます(神田神保町の三省堂書店では30冊ほど置いてました)。
しかし不思議なことに、会社の現状の「見える化」に関する本は1冊もありません(ついでに言うとビジネスセミナーもありません)。現状の「見える化」を病院に例えると、会社の「健康診断」もしくは「病状の診察・検査」にあたるはずです。医学書のコーナーには治療方法の本の他に診療(診断・検査)方法の本がありますが、なぜかしらビジネス書のコーナーには治療(業務改善・改革)方法の本しかないのです。皆さんも「何かおかしいな?」とは思いませんか?
ちなみに病院で患者にすぐ治療行為を行うのは、患者が意識不明で病状(症状)が明白(火傷や骨折等)な場合のみです。日本の会社の業績はそんなに重篤なのでしょうか?
病院に行くと、通常は治療の前に次のようなことを行います。
上記①~③で患者の病状(どこがどの程度悪い)を数値データ(定量的に)で測定し、治療方針(投薬or手術)を決定します。また医者は治療前に患者に病状をよく説明し、なぜこの治療方針にしたかを話し、患者の同意を得ることが義務付けられています。その際、セカンドオピニオン(別の医者の診断)を患者が希望することもできます。
それに対してビジネスの世界ではどうでしょう。経営者が会社を自己診断し、社外コンサルタントや自社の業務改革部署(チーム)に業務改革(手術方法)を指示します。患者(社員)に対する診療や検査もなく、同意を得ることもありません。これでは貴重な経営資源(人・物・金)を投入して業務改革プロジェクトを断行しても成果は乏しく、また将来「病」が再発しても決して不思議ではありません(むしろ「当然」のような気すらします)。このようなKKD(カン・根性・度胸)による非科学的な経営で、昨今の厳しい経営環境下を本当に生き残れるのか疑問に感じます。
「例によって言いたい放題言いやがって!! お前なら一体どうするんだよ!!」
おっ、久々のご登場ですね、匿名の読者様(笑)。私なら次のようにします。
【ト―タルマネジメントシステム研究所の診察・治療プロセス】
匿名の読者様、こんなところでいかがでしょうか? ちなみに上記の診察・治療プロセスの遵守により、当院(TMS研)の治癒実績はいまのところ100%です。
「ふ~ん、本の1冊も書いてない無名コンサルだと思ってバカにしてたけど、あんた意外にやるな」
「……… (本当にほめてるのかな?)」
あなたは病院でいきなり『手術』を受けますか?