今、会社経営者や総務(人事・管理)部課長、労務担当者を悩ませているものに『働き方改革実行計画』があります。同計画は①残業禁止の大号令②同一労働同一賃金の強制導入、と非常にハードルが高いうえに違反企業へのペナルティ(社名公表、公共事業への入札禁止)もまさしく厳罰です。
同計画の対策に慌てふためく会社をよそに、とうの昔にこのハードルをクリアし、かつ高い利益率を誇るメーカーがあります。その名は『未来工業(株)』といいます。同社の製品は電設部材のため一般には無名ですが、電気工事業界では知らない者がいない超有名会社です。同社は坂本光司先生の『日本で一番大切にしたい会社2』で取り上げられ、その後創業社長の山田昭雄氏が人気番組『カンブリア宮殿』に出演、また同氏の著書が数冊出版されたことによりその名が世間でも認知されるに至りました。
同社は昭和40年に創業(角川と同い年!!)、松下(現パナソニック)、東芝、日立、三菱といった大会社がひしめく電設部材業界で生き残るため、社長の山田氏は全社員に「常に考える」ことを課しました。そして全社員の「やる気」を最大化するため、社員が会社に望むことすべてを実現しました。全員正社員(定年71歳)、年間休日140日、就業時間7.25時間、残業・休日出勤ゼロ等です。この高待遇に発奮した社員の働きで同社は常に15%超の利益率をキープ、めでたく第1回『日本で一番大切にしたい会社大賞』の栄冠に輝きました。創業者の山田氏は同社相談役に退いた後も同社の「広告塔」として積極的に講演・出版活動を行い、2014年にその生涯を終えられました。
私は縁あって2008年に同氏の講演を聴く機会に恵まれ、その素晴らしい内容に大変感銘を受けた者です。その後同社の某工場を2度見学しました。その際、未来工業と自分の勤めていた会社の余りのギャップにいささか放心状態(笑)だった私を見かねてか、工場長さんが「角川さん、この会社がこんな風になれたのは山田さんが社長だったからで、ご自分の会社とあまり比べない方がいいですよ…」と慰めてくれるほどでした。
確かに工場長さんのおっしゃる通り、普通なら「同社のことは話のタネくらいにしておこう」とか「同社で見たものはきっと幻にちがいない。早く忘れよう(笑)」などと考えるのが大人なのかもしれません。
しかし私は「未来工業に転職できないなら、せめて自分の勤める会社を未来工業に一歩でも近づけたい!!」という熱い想いを拭い去ることは出来ませんでした。そして私が実行に移した『自社の未来工業化プロジェクト(非公認)』とは次の通りです。
これらの活動は①はトップダウン、②③④はボトムアップ活動として実施、私の想いが従業員の皆さんに通じたのか、それぞれ当初の想定を上回る成果を上げることができました!! (各活動の詳細については後日紹介予定)
そのような「未来工業愛」に満ちた私はセミナーでもしばしば同社を絶賛していたところ、今回セミナー会社の方から「角川先生、そんなに未来工業さんがお好きなら、うちで同社の工場見学ツアーでもやりませんか?」という願ってもないお話をいただきました!! (ここから先はセミナーのPR風の内容です。予めご了承ください)
しかし調べてみると同社見学ツアーはすでにいくつかのセミナー会社が開催しており、先行他社がいる状況です。そこに他社と変わり映えのしない企画をぶつけても集客が上手くいかないことは明白です(未来工業創業時と同じ状況ですね)。そこで他社セミナーのチラシを前に私も考えました。その結果、他社セミナーの共通点に気づきました。内容が山田氏の著書とまったく同じで、ただその内容を現地で確認するだけなのです。「わざわざ高いお金と貴重な時間を費やして同ツアーに参加する人は、山田氏の本の1~2冊はすでに読んでいるはず。それなら同社自体の説明は極小にして、どうやったら参加者の会社を未来工業化できるかについてお話しした方が喜ばれるのでは?」と考えた私のセミナー企画は次の通りです。
同ツアー最大の特長は⑤です。これなしには同社見学ツアー参加者は(かつての私のように)同社と自社のあまりの違いに茫然としてしまう(最悪、退職してしまう?)可能性が高いからです。そういった意味では、同社見学ツアーは一種の『劇薬』かもしれません。私のツアーはそのような事態を避け、日本企業の一つの「本来あるべき姿」である同社の実態を現認した参加者が、「よ~し、俺の会社も負けてたまるか!! 待ってろよ、未来工業!!」とやる気が出てくる内容です。これこそ同ツアーの差別化のポイントであり、一番の「売り」です。
あなたは「残業時間ゼロ」の会社をご存知ですか?