前職 (中堅部材メーカー)で総務部員だった際、私はISO14000事務局でした。親会社の意向で兄弟会社K社との合併が決まり、K社の事務局とISOの認証会社へ、認証統合手続きの相談に行った時の話です。
認証会社(LRQA)は、当時日本一の高さを誇った『みなとみらい』という横浜市のビルに入っていました。最寄りの地下鉄の駅で待ち合わせたK社のT部長は、私に「僕が生まれ育ったのはこの辺なんだ。懐かしい気がするよ」と言いました。
予定より早く現地に到着し、時間調整のため展望ルームに上りました。そこで『双眼鏡 200円』という張り紙に気づき、借りた双眼鏡をT部長に渡すと「ああ、懐かしいなぁ」 「子供のころは広いと思っていたけど、こうして上から見ると意外と狭い世界で生きていたんだなぁ」 「お釈迦様の掌で暴れていた孫悟空みたいな気持ちがするよ(笑)」と、至極ご満悦でした。会社合併後、T部長は私を大変かわいがってくれ、何かと助けていただいたものです。
今日Google Earthやドローンで、誰でも「鳥の目」を持つことができる時代です。お住まいの地域や生まれ育った地域を、一度Google Earthでご覧になってはいかがですか?T部長のように今まで気づかなかったことに気づくかもしれません。
さて、読者の皆さんは歴史ネタや軍事ネタがお好きなようですので、最近私が読んだ本の中でお勧めの物を数点ご紹介します。
これらの本の著者に共通する点が1つあります。それは大学教授、国連職員、大統領顧問等、全員海外生活経験者ということです(除く①)。海の向こうから『鳥の目』で祖国日本を俯瞰された方々ばかりです。
歴史を「書く」ことができるのは戦いの勝者の権利であり、彼らに都合の悪い事実は、隠ぺい・削除・改ざんされてしまいます。そして戦いの敗者には、真実に触れる機会もその権利もありません。前述の本の著者たちは、通常では勝者しか知り得ない真実(一次史料)に触れることのできた希少な経験をお持ちの皆さんです。①~⑩の本を読めば、日本(地上)に住んでいたのでは知り得ない真実が、ヘリコプター搭乗券とは比較にならないわずかな金額で手に入ります。
今回上記の本をご紹介したのは、これらの本が私に『鳥の目』を与えてくれたからです。地理学と軍事学を融合した地政学の知識なしには、19~20世紀に列強が繰り広げた帝国主義政策を理解することは不可能です。戦後GHQにより地政学を教えることを禁じられ、近現代史に疎くなった我々日本人が「歴史を取り戻す」のに必要不可欠な本と言えます。ぜひご一読をお勧めします。
スタンフォード大学フーバー研究所教授の西鋭夫先生の本や動画を見ると、日本人が歴史上の奇跡のように崇めている『明治維新』が、イギリスの極東戦略の一環にすぎないことが分かります。歴史教科書には「坂本龍馬らの働きもあり、それまで敵対関係にあった両藩は1866年に軍事同盟(薩長同盟)を結んだ」等、さらっと書かれていますが、よくよく考えると角川がトヨタと日産のアライアンスをまとめるくらい、途方もない話です。一介の脱藩浪人に過ぎなかった坂本龍馬が軍事同盟締結を主導したり、『海援隊』なる民兵組織を結成・維持できたのも、すべてはイギリスの資金供与があってのことでした。
インド(ムガール帝国)や中国(清朝)を滅茶苦茶にしたイギリスが日本に手荒なことをしなかった理由はロシアとの『グレートゲーム』に勝つため、その手下として日本を温存したためでした。天皇家と英王家が親密な理由も想像がつきます。
私はこれらの本のおかげで、長年疑問に思っていたことが雲散霧消しました。いままで地上でうごめいていた虫が、鳥についばまれて上空から地上を見下ろしたような気持ちです。『鳥の目』を持つと、『虫の目』では決して見ることのできない景色を見ることができます。
皆さんの所属する会社や部署にも、様々な問題がおありのことでしょう。職位は異なれど、皆さんそれぞれのお立場で悩み、苦しんでいることと思います。もし『鳥の目』で会社や部署を俯瞰することができれば、皆さんの悩みや苦しみの原因が分かるかもしれませんよ。
あなたは『鳥の目』をお持ちですか?