皆様にご愛読いただいているTMS研メルマガの読者数は、2020年4月時点で800名でした。しかしこの三ヶ月間で15名も減りました。内訳は社長1名、部長2名、課長8名、主任1名、担当者1名です。この15名の身に何が起きたかは説明不要でしょう。
当メルマガは、セミナー受講者にアフターサービスとして配信しています。私のセミナーは受講料が4~5万円のため、受講者の所属会社はいずれも優良企業ばかりです。その優良企業ですら従業員の雇用を守れなかったことからも、日本企業が現在相当厳しい状況にあることが分かります。
さて、先日某イベント会社(従業員数50名)の幹部会議に招かれた時のお話です。同社はコロナ禍により受注が全消滅、4ヶ月間の売上はゼロ、その結果内部留保が乏しくなり経営危機に陥っていました。今までに実施したことは ①2名のリストラ ②3憶円の追加融資 で、今後の対策についてぜひ私の意見を聞きたいとのことでした。
上記①②により年内はなんとか持ちこたえられるものの、来年の事業計画は白紙状態で、社長・専務・経理部長・総務部長の幹部4名は途方に暮れていました。
ここで同社の現状をまとめると、下記の通りです。皆さんならどうしますか? 考えてみてください。
4名が「角川さん、何かしゃべってください」と目で催促しています。そこで「皆さん、リストラ、会社売却、廃業しか選択肢がないとお考えですか?」と聞くと、全員うつむきました。どうやら図星だったようです。
「リストラとはあくまで最終手段です。私見ではリストラには2種類あります。従業員が怒るものと納得するものです」 と切り出し、『角川ワールド』の開幕です。
怒るリストラ | : | 残業規制や給与削減を実施した程度で行うもの |
納得するリストラ | : | 万策尽きてやむを得ず実施するもの |
上記の「万策」とは、具体的に次の対策を指します。
「来年で創業40周年を迎える御社の強みは、人財といままで蓄積してきたノウハウです。この2つを上記①②で「見える化」し共有化すれば、活路は必ず見つかります」
「10年後、今回の「経営危機」は御社の真価をマーケットに問う「絶好の機会」だったことに気付くことでしょう」
すると、ここまで目をつぶり腕組みをして黙って聞いていた社長さんが、突然「バン!!」 と机を叩き立ち上がりました。
「よし、決めたぞ!! リストラは止めだ!!」
「わずか半年、されど半年、ここは全員で力を合わせて、死ぬ気でやってみようじゃないか!!」
「それでダメなら、みんなも納得できるだろう」
他の3名も次々と立ち上がり「やりましょう!!」 「やりましょう!!」と続きました。幹部4名の目に覚悟と熱意、そして希望がみなぎっていました。
その後私の持参したDVD『フラガール(注.1)』を全員で鑑賞し、活発な意見交換をした後、次回までの課題図書として『魂の経営(注.2)』を指定し、私は同社を後にしました。
欧米流経営手法が普及した昨今、安易にリストラを実施するケースをよく見かけます。しかし、一度でもリストラを行えば社員は二度と会社を信用しなくなります。過去2回リストラを経験した私が言うんですから、間違いありません。
その上、会社は日本企業の最大の強みである「会社への忠誠心」を失い、「従業員性善説」による経営は不可能となります。その結果、御社は欧米企業の劣化版となることでしょう。
それでも御社はリストラを断行しますか?